「良い打鍵音のキースイッチを使いたい」
そんな漠然とした想いを抱えていた私が思い出したのが、ひとつの動画でした。それは、ダンボールの上に空中配線で組まれたと思われるキースイッチがプレートで搭載された、何とも奇妙・珍妙なキーボード。ただし、奏でる打鍵音はとても心地良く、好みに思えました。
・ダンボールキーボードとの出会い
この動画を初めて見たのは、いつだったか……キーボードに対しての要求・欲求が生まれた頃、キースイッチの違いで色々あるのだと知り、打鍵音を確認できる動画を漁っていた頃でしょうか。この見た目とのギャップある、上質な打鍵音に打ちのめされました。失礼ですが、「こんな見た目なのに!」という言葉を抑えられません。
どんなキースイッチを使っているのだろうか、きっと自分が知らないだけで有名な、良いキースイッチなのだろうと概要欄を見ると……そこには、パーツを組み合わせて作られた『キメラスイッチ』(海外だとフランケンスイッチの方が通るでしょうか?)だということが書かれていました。この時点で、私には無理だと、そっと動画を閉じました。
・忘れられない、あの音
自作キーボード沼にはまり、私もいくつかのキースイッチを体験しました(多くはありませんが)。その中でHako Violetという素敵な出会いがありましたし、ホーリーパンダ系やT1系の癖になるタクタイルを知ることも出来ました。……しかし、時折思い出すのはあのダンボールキーボードでした。
「あんな音を奏でられたら……」
そんな想いが、自作キーボードに慣れれば慣れるほど、募っていきました。そしてActy-45を完成させ、ひとつの想いを完遂したそのタイミングで「作ってみるか」と思ったわけです。
・打鍵音だけが良いキーボードを目指して
キメラスイッチに挑戦しよう、と思った時に真っ先に頭に浮かんだのは、「数が多いと大変だな」ということでした(苦笑)。「理想を追求するのに手間を惜しむなよ!」とは思いますが、大変なのは大変なのです。
とりあえずどうしようか……と思案しましたが、原点に返れではないですが、ダンボールキーボードが省キーレイアウトだったことを思い返し、少ないけれどもキーボードとして自分が扱える範囲のサイズにしようと決めました。Acty-45で感じた「左右均等」のコンセプトをここでも追求し、サイズを調整しつつ出来上がったのが上の画像です。
31キーに納まったことで、自作キーボードの30%レイアウトとしては有名であろう某キーボードと似ている感じになってしまいましたが、コンセプトとか背景も違うし、そもそもこちらは洗練されたものとは言えないしな……ということで、開き直りました。先駆者への敬意は忘れません。
左右均等を追求した結果、自分の設計したこれまでのロウスタッガードキーボード全てに言えることですが、刻印入りキーキャップが使い難いレイアウトになりました……。
・Acty-31というキーボード
Keyboard: Acty-31
Switch: Top&Bottom:MX Brown, Stem:Gazzew Boba Black U4T, 63.5g
Keycap: DSA PBT ブランク キーキャップ
アクリルプレートのレーザーカットを依頼し、出来上がったものにMX BrownとGazzew Boba Black U4Tを組み合わせたキースイッチを組んだのがActy-31です。このキーボードは使いやすいレイアウトや見た目を重視したのではなく、「キメラスイッチを組んで、ただただ打鍵音が良いだけのキーボードを作りたい」という勢い重視で設計しました。
名称についてはActy-45と同様のルールで付けられており、「芥川の、芥川による、芥川のためのキーボード」であり、31キーのキーボードであるという、それだけの名称です。
・仕様的なお話
Acty-31もProMicro互換基板と空中配線という組み合わせで組んでいます。ファームウェアもQMK Firmwareで、目新しいものはありません。打鍵音を重視しつつ、キーボード全体よりもキースイッチ単体での打鍵音を重視したのでプレート構成も2枚の省設計(?)で、反響だけ抑えられたらという程度でPRONシートをボトムプレートに貼っています。
サイドは潔く、開放したままです。最初はマスキングテープを貼ろうかと思いましたが、ここまできたらシンプルにした方が良いかなという気がしたのでそのままにしています。打鍵音を本当に追求するのであれば、塞いだ方が良いとは思いますが……そこまでするのは(今回は)違うかな、という自分の感覚を信じてというか、甘えてそのままにしました。埃問題は……ちゃんと掃除します!
ファームウェアでは過去2作でもそうですが、特別なことはしていません。基本に忠実というか、オーソドックスなことしかやっていない……筈です。現在の自分が出来ること、求めることに対してまだファームウェア側で頑張らないといけないことが見えていないので、特に手を付けていない感じですね。
・キーマップ
REMAPで出力出来るチートシートです。あると便利、画像化するとblogでの説明も楽です。チートシート出力機能に感謝!
相変わらずの、ロウスタッガードQWERTYです。キーマップは日本語配列として使えるようにしています。疑似日本語配列大好き。
コンパクトにした副次的効果で、持ち運びがしやすくなりました。そのため、ノートPCと一緒に持ち運ぶことを想定し、マウスを使わないでも操作できるようにマウス用のキーを設定してあります。Acty-45でも設定していますが、実は設定したのはこちらが先でした。ポインターが爆速で動いてしまう以外は便利です。
苦労したのはShiftとCtrlの設定ですかね……。ご覧の通り、設定出来る場所が限られているので、タップ&ホールド機能を使いこなさないといけませんでした。しかも、ただ設定すれば良い訳でもなく、他のキーとの組み合わせで最適な場所、被ってしまう場所もあり、それらを考慮して(というか試して失敗しながら)上の画像のレイアウトに落ち着いています。
それ以外だと……特に特筆することはないですかね? いたって普通の疑似日本語配列だと思います。……たぶん。
これを書いている時点でよくある組み合わせが、上の画像のコンビです。Acty兄弟……ですかね? ちょっとした文章は31、ガッツリとかソフト上の操作で色々とキーを使う場合は45という感じで使ったりします。打鍵感と打鍵音で違いがあって、切り替えて使っているとメリハリも出てイイ感じです(当者比)。
この記事はActy-31とActy-45で書きました。
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