ロウスタッガード、45キーのキーボード。Acty-45は左右バランスに(自分としては)こだわったロウスタッガード・キーボードです。
・スタート地点
カラムスタッガードのキーボードを使用するようになり、気が付いたことがありました。それが、ロウスタッガードで右手エリアが上手く使えていないということです。普通に使っていると分からなかったのですが、カラムスタッガードを使った後でロウスタッガードに戻ってくるとエンターキーやバックスペースが遠く感じるんです。そして、タイピングミスが増えました。慣れていたはずのロウスタッガードで、です。
元々ロウスタッガードとQWERTYは非効率だ、なんて言われているのは知っていましたが、自分自身は特に問題を感じていなかったので気にしていませんでした。ところが、カラムスタッガードを使った後だと覚え立ての頃みたいにキーボードを上手く打てなくなるんです(今も下手ですけれどもね)。これは何故だ……? そう考えた時に、あらためてレイアウトについて気にすることになりました。
上の画像は試行錯誤の結果、「左右のキー数をある程度揃えれば良いのではないか?」と考えたことでキー数を確定させた際の検討図(?)です。左右キーの数については感覚的な部分が大きいのですが、そもそも左手と右手で担当するエリアの大きさが違いすぎるという部分に着目して、ホームポジションと呼ばれるところに指を置いた際にそれぞれの指の外側に何キーあるのかを重視してレイアウトした結果、こうなりました。FとJの左右にあるキーを同数に揃えることで、左右のバランスを整え、右手と左手の守備範囲を同等にしようという試みです。……どこかですでにされている試みかもしれませんが、考えた時はとにかく「それだ!」という感じでしたね(苦笑)。
出来上がったレイアウトを基にキーキャップを手配。プレート外形をコピー用紙にプリントアウトし、載せてみたのが上の画像です。指を乗せてみると……なんだかイイ感じに思えたので、これで組むことにしました。
アクリルプレートのレーザーカットを依頼し、届いたものが上の画像です。Act-JP52の際は2枚構成でしたが、今回はキーキャップとキースイッチプレートの間を見せないようにするためにプレートが多くなっています。嫌いというわけではないのですが、どちらかというとキースイッチの根元は見えない方が好みです。
キースイッチは、かなり気に入っているタクタイル軸、Hako Violet。リーフに塗らないように気を付けつつ、ルブしています。
2㎜アクリルはキースイッチを固定できないため、瞬間接着材で固定しています。Act-JP52でもグルーガンで固定しましたが、その際にスイッチ穴が緩かったのでレーザーカット依頼のデータを作る際に少しだけスイッチ穴のサイズを小さくしています。あまりキツすぎると、スイッチが歪むのかなという気がしますので、この塩梅的な部分は難しいですね……。
・出来上がったActy-45
Keyboard: Acty-45
Switch: Hako Violet
Keycap: DSA PBT ブランク キーキャップ
見た目はほぼ好みに仕上がりました。ネジがもう少し魅せネジ的な、デザインに寄り添ったものを用意できたら良かったのですが、見つけられませんでした(おそらくリサーチ不足)。それ以外はほぼ予定通り、理想通り、ですかね。
プレートは一部スペーサーを使っている関係で、積層+サンドイッチという中途半端な仕様です。これは私の設計限界の関係からですね。上手いことプレートを固定する設計が出来ませんでした。将来的な、Acty-45HG(ハイグレード)等への課題、ということで。作るかどうかは未定ですが、いつかやれるように磨いていきたいですね。
名称についてはAct-JP52での恥ずかしい失敗を活かして一応、検索してから決定したつもりです。Actという意味合いは今回、コンセプト的に薄れていますが、変わらず『日本語配列を演じる』という意味合いを込めつつ、『芥川の、芥川による、芥川のためのキーボード』という意味合いを強くしています。そして定番のキー数を添えて、『Acty-45』。『y』はどこから来たのか? ……雰囲気です!
・仕様的な話
Acty-45もトラブルへの対処がしやすいだろうということで、ProMicro互換基板とQMK Firmwareを採用しています。そして空中配線。基板設計で、どうしても配線が上手く出来ないんですよね……自動で配線してくれるものもあるのですが、それも使いこなせておらず……基板設計、もう少しトライ&エラーを繰り返して身に着けないと駄目ですね。
空中配線もファームウェア、マイコンも、現在の自分が作りやすく修正しやすいものだと判断して選んでいます。古い、効率的ではない部分が多々あるのかもしれませんが、私が私なりの判断と理由で選んだのでこれで良いのです。新しくて効率的なことは他の人がやるでしょう。私の、私のためのキーボードですから、これで良いのです。いや、これが良いのです。
レイアウトは、前述したように&見てお分かりの通り、ロウスタッガードです。Act-JP52同様、日本語配列として使えるようにしてあります。特に前面に押し出していませんが、これもまた疑似日本語配列のキーボードです。Act-JP52よりも普通のキーボードっぽさが出たのは退化に思える部分もありますが、個人的な心証(?)としては進化というか……進歩? そう思っています。デザインと実用性の、自分なりのバランスみたいなものをもう少し取れるようになったかな、という感じでしょうか(これが最適というわけではなく、現状の自分としては、ということで)。
ボトムプレートにはPRONシートを貼って、一応の打鍵音対策的なことを試みています。また、フレームのサイドにはマスキングテープを貼り、打鍵音がダダ漏れになるのを防いだつもりです。サンドイッチ構造よりはマシかなというレベルですが、好きなキースイッチの打鍵音なので基本的な不満はないですね。もう少し音が詰まった感じになると良いのかなとは思いますが……それは構造そのものをちゃんと見直さないと駄目かなと。
・キーマップ
上の画像はREMAPで出力出来るチートシートです。慣れない間はこれを見て必要なキーを探します。まだキーマップを熟成できていないので、結構隙間がありますね(Act-JP52もそうでしたが)。layer3はもう少し、普段は使わないけど使うと便利なキーを設定したいなと、試行錯誤していますが……まだ埋まってはいません。
基本的なキーマップはQWERTYで、日本語配列です。とはいえ、各種記号の位置とかが最低限のレベルで日本語配列っぽいだけなので、疑似日本語配列といった感じですね。JISでもJIS準拠でもないけれど、日本語配列として使用できる……そんな感じのキーマップです。ISOエンターは否定派ではありませんが、キーマップで工夫するとこちらのエンターキーの方が扱いやすく感じました。というか、たぶんそれはロウスタッガード日本語配列の右手エリアが広すぎるせいなのですが(個人の感想)。
特筆すべき点でもなんでもないのですが、layer2にはマウス操作用のキーを設定しました。別にマウス使っているから必要ないキーですが、「マウスが使えない?!」なんて時に設定しておくと安心かな、なんて。備えあればなんとやら、です。……ただし、このマウスキーだとポインタが爆速で動いてしまうので、コントロールするのは大変です(苦笑)。
専用のパームレストを作って、現在は最多登板キーボードになっています。これを執筆している頃はこれとActy-31、サリチル酸さんのErgoArrowsProが代わる代わるデスクの上で活躍してくれています。サブPCでは堕落猫さんのYamadaシリーズとサリチル酸さんのGuide68を使用していますね。良いキーボード、気に入ったキーボードと自分のキーボードを交互に使うと、自分専用ならではの良さと、まだまだ改善できるなという気付きがあるので楽しいです。沼ですねえ……。
この記事はActy-45で書きました。
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